超ゆるやか階段
高齢化が進み自宅で過ごす時間が増えた2020年、さらに安全性をもとめた25段の階段を採用した住宅が出来ました。
階段を「超ゆるやかに」することは、高齢の施主様に向けて、必要があって生まれた発想ですが、若い世代のニーズにも合致し、
新型コロナウイルス感染症対策で自宅のテレワークなどの時間を中心にした暮らしにも対応した、
これからの住まいづくりのご提案であると同時に、健康で安全な人生の基礎になると考えています。
~施主様からのメッセージ~
巷では、バリヤフリーを強調した住まいが増えています。
段差がなく、安全で快適な住宅ですが、高齢者にとっては運動不足に陥りやすく、
心身ともに衰えていくことが心配でした。
そこで私は日々、階段の昇降を繰り返すという生活習慣が運動不足解消のひとつとなると思いいたりました。
このたび、80歳にして理想の住まいを建築することとなり、
このチャンスに無理なく安全に昇降できる「超ゆるやか階段」を設置しました。
車いすに頼らない生活を目指す、ユニバーサルデザインの発想を取り入れた、
高齢者にふさわしい25段のとてもゆるやかな階段です。高齢者のみならず、
ポストコロナでのテレワークを余儀なくされる若い人にも有益な「超ゆるやか階段」が、
世界中の住宅建築で広く普及することを期待しています。
(四日市市在住の医師、80歳)
~手すり設計者からのメッセージ~
当時80歳近い祖母は膝が悪く、20センチほどの上がり框に苦労していました。
祖母のために考えた手すりの形状は、余分な力をかけずに階段を上がれるように
玄関の傾斜に合わせたことがヒントになりました。
ただ握るのではなく、手を置いて体を支えられるように、手の平の添いやすさを考え、
太さ、丸み、厚みを人間工学に基づいて計算した設計になりました。
今回ご縁をいただいき、祖母のために考えた手すりが、25段の階段に採用されることになりました。
丸みを帯び、安全に身体を支えられるように考えた手すりが、広く採用されることを願います。
(2008年よりマサチューセッツ州立大学勤務 古川慎吾)