家づくりコラム㉓ゆるやか階段の根拠

理想の階段の科学的根拠

建設相建築研究室で、東大卒で静岡文化芸術大学名誉教授の古関敏先生が1986年に

「階段使用時の安全性確保に関する研究~特に住宅階段を対象として」

そこには、いろんな実験データから結論が導かれていました。

と言う論文を書かれていたのです。

階段の一段当たりの踏面蹴上げ寸法を変えた場合について、
下降の際に階段に載る足の寸法を計測することにより安全必要とされている最低限の踏面寸法は、
ほぼ210ミリメートルであるとの結果が得られた。
さらに、同じく下降時に段板に加えられる動的な荷重と、
踏面蹴上げ寸法との関係から、手摺りなどの利用を前提としない場合には
最大限許容し得る蹴上げ寸法は、ほぼ180ミリメートルであることを見出した。
以上から求められた階段の府水ら蹴上げの組み合わせによる必要最低条件は40度となるが、
これは住宅等の階段にかかる一般的な勾配より緩やかであって、
現実的でないきらいがある。そこで勾配の大きい階段を設計する際には、
階段手すりを付けることが妥協手段の一つであると考え、
これによって階段の有効幅員が狭くなることの問題点を検討した。
すなわち、荷物を携帯した場合の昇降実験を行い、この実験の範囲内では、
幅員750ミリメートルの壁面間寸法を確保した階段では、手摺りをその内側に設置しても
その使用にはほとんど影響しない結果を得た。
これらの検討結果をまとめることにより、階段使用時の安全性を確保するために
採用すべき現実的な条件を明らかにした。

引用: 古関敏, ”階段使用時の安全性確保に関する研究~特に住宅階段を対象として”

つまり手すりのない階段の場合1段あたりの高さ18センチ以下にすると安全性があがるということ。

通常規格品の14段の階段ですと、1段の高さが21センチになります。

階段を18段にすると、1段の高さが16.5センチなのでゆるやか階段は家庭内での事故を減らしてくれます。

上記の研究は今後の日本を、活力ある高齢化社会にするためになされていた研究ではないのかと思えてきました。

一般ユーザーのあなたから住宅階段の基準を変えていくための人間工学研究は、

37年前の1986年に建設省(現国交省)建築研究所で行われていたのです。

是非、頑なな建築屋さん、大工さん、設計士さんに、自信をもってゆるやか階段を

発注しようではありませんか(^^♪

category:住まいの設計・計画  |    |  2024.11.19

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